親知らず、抜いた方がいいの?
歯医者に来る患者さんから「先生、親知らずって抜いた方がいいんですか?」とよく聞かれます。
結論から言うと「状況による」と言うことです。
親知らずはなぜ痛くなる?
顔が腫れてお口も開かなくなるほど痛くなることもある親知らず。場合によっては親知らずが原
因で命を落としてしまうこともあります。では、なぜ親知らずは痛くなるのでしょうか。
人間の歯は上下左右合わせて32本の歯があります。
しかし、日本人の顎は小さいことが多くその結果一番奥の歯がうまく生えてこないことが多いの
です。この一番奥の歯というのが親知らずです。
斜めに生えてきたり、顎骨の中で真横を向いていたりする親知らず周囲の歯肉に炎症が起きて痛
みが生じることになるのです。これを「智歯周囲炎」といいます。
炎症が起きる原因は?
うまく生えてこれない親知らずの周囲は清掃不良になりがちです。
ただでさえ歯磨きを完璧に行うことは難しいのに、半分しか顔を出していない親知らずの周囲、
ましてや一番奥となると磨き残しが大量に発生しやすく、磨き残したプラーク(歯垢)内の細菌
により炎症が起きるわけです。
抜いた方がいい?
智歯周囲炎になると、抗生剤や清掃により数日でよくなりますが清掃が不十分だと再発します。
また、埋まっている智歯周囲の顎骨には空洞がありそこはどんなに清掃を頑張っても歯ブラシは
届かないため細菌繁殖の温床となり、炎症が起きてしまいます。
一度「智歯周囲炎」が起きた親知らずは再発しやすく、その度に重症化し再発する期間も短くな
ることもあります。
そのため智歯周囲炎を起こしたことがある親知らずは抜くことをおすすめします。
いつ抜いたらいいの?
強い炎症が起きている時に親知らずの抜歯をするのはかなり困難です。
強い炎症により局所麻酔が効きづらかったり、ひどく腫れたり強い痛みが出やすいため、まずは
抗生剤、鎮痛剤による消炎をおこないます。
1週間もすると炎症は治ってくるので、それから抜歯となります。
しかし、親知らずは歯根が複雑に曲がっていたり、下顎だと大きな神経と絡んでいることもあり
症例によっては口腔外科での専門的処置が必要になることもあります。
親知らずに違和感を覚えたらすぐに歯科医院を受診し抜歯も含めた相談をされるといいでしょう